ガソリン版SKYACTIV-Gのキーワードが高圧縮比ならば、ディーゼル版のそれは低圧縮比。それまでの18以上という圧縮比設定では適切な混合気が生成される前に着火燃焼が起こりNOxとPMの同時発生が避けられない。
それを防ぐために燃焼をリタードせざるを得ないので有効膨張比が低下する、エンジン強度が必要で機械的な抵抗損失が大きいなど、さまざまな問題点を抱えていた。圧縮比14.0という数値は厳しいエミッションをクリアし軽量で効率の高い新世代のディーゼルエンジンを生むキーワードなのだ。
本機ではVGターボではなく運転状況で大小を切り替える2ステージターボ、マルチホール・ピエゾインジェクターによる多パターン燃料噴射、排気を直接新気に還流させてEGR効果を得る排気二度開きバルブなどを用い、酸化触媒とDPFだけでNOx後処理システムを使わずに国内外の最新排出ガス規制をクリアしている。CX-8デビュー時に大幅アップデートされたデンソー製i-ARTインジェクターを使う最新仕様が18年にCX-5にも搭載された。
APPLICATION:Mazda6, CX-5, CX-8
理想の燃焼実現へ向けて、少量の燃料を多段かつ高圧で微細分霧化して噴射する、新しい燃焼技術「急速多段燃焼」で進化したSH-VPTS型。少量、多段、そして燃焼期間の短縮化によって、上死点で爆発させる燃焼効率の高い理想的なエンジン燃焼改善を行なう。この進化にともない、圧縮比は従来の14.0から14.4へ変更となった。
急速多段燃焼の実現に大きく貢献する、圧力センサー内蔵のマルチホールピエゾインジェクター(i-ART)をアップデートで新採用。超高応答化させ、従来に比べて素早い連射が可能になった。
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